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頭痛の種類は、大きく2つにわけられます。

1次性頭痛
 片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、後頭神経痛など

2次性頭痛​ 

 脳腫瘍やくも膜下出血など

これまで「頭痛」の訴えがあると、詳細な問診や症状/身体所見などの精査なく、ルーチンで頭部CTやMRIを実施し、異常なければ、痛み止めだけをもらうというケースが多かった時代がありました。今でもそのようにされてしまっている医療機関も少なからずあるのも事実でもあります。当院では、事前問診や診察などで可能性があると判断した場合や不安が強い方には、頭部MRIによる中枢性疾患の精査を専門病院と連携対応しております。

 たしかに2次性頭痛は、生命に関わることもあり、それを除外することは非常に重要ですが、1次性頭痛は、多くの患者さんがいて、しかも、学校や仕事を休まざるを得ないぐらいにつらい症状にも関わらず社会的にも理解してもらえないことも多いのです。

1次性頭痛の代表的なものには、片頭痛緊張型頭痛(筋収縮性頭痛)の2つがあり、両者の混合型頭痛も非常に多いとされます。

片頭痛は血管性頭痛の代表といわれ、血管が縮んだり拡がったりすることで、血管の周囲にある神経が刺激されて痛みを感じます。片側だけでなく、両側が痛む場合もあり、片頭痛の患者さんは、人口の約10%、全国で900万人以上はおられます。

2001年より、「トリプタン製剤」が登場し、片頭痛の治療は大きく変化しました。医師の指示に従ってきちんと服用することで、多くの方が片頭痛の痛みから速やかに解放されるようになりました。

 

片頭痛治療薬の基本的な選択方法

小児や妊娠授乳期の方は、まずは「アセトアミノフェン」。
それ以外の方に対しては、片頭痛の重症度に応じて、抗炎症効果のある軽度~中等度には「NSAIDs」、中等度~重度には「トリプタン製剤」の使用/併用がが推奨されています。


軽度~中等度の頭痛でも「NSAIDs」の効果がみられない方に対しては、「トリプタン製剤」に変更/併用することもあります。


「頭痛の頻度が多い」「トリプタン製剤は効くがその効果が弱い」という場合には、毎日内服する「予防薬」を行います。

 
トリプタン製剤

年齢や性別、過去使用歴があればその効果などを参考にして、複数のトリプタン製剤の中からまず一つを選択して処方し、しかし、薬の効果や副作用の出現には個人差が大きく、まずは少量から処方し、薬の効果や副作用を慎重に確認しながら、患者さんそれぞれに合った薬や飲み方を探していくことが重要になります。

毎日内服する「予防薬」

(1)カルシウム拮抗薬:最近の報告では、効果が少ないとされ、当院ではあまり処方しないことが多いです。

 ①ロメリジン(ミグシス® )②ベラパミル(ワソラン®)

(2)抗てんかん薬

 ① バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®) ② トピラマート(トピナ®)

 ③ レベチラセタム(イーケプラ®) ④ ガバペンチン(ガバペン®)

(3)β遮断薬

 プロプラノロール(インデラル®)

(4)抗うつ薬
 アミトリプチン(トリプタノール®)
(5)漢方薬

 呉茱萸湯、釣藤散、五苓散など:当院では、2~4のどれかと漢方薬を併用することも多いです。

(6)CGRP関連抗体薬(片頭痛発作の発症抑制薬):上記でもコントロールの難しい重症患者さんには、この薬剤の適応を含め、
 近隣総合病院へ紹介させて頂いております。非常に高額な薬剤にて行政サポートも必要。

 エムガルティ、アジョビ、アイモビーグ


片頭痛に悩む患者さんのうち、男性と女性では女性の方が3.6倍も多いとされ、その理由としては、女性ホルモンであるエストロゲンの存在が大きく関係しており、生理の際に悪化する強い頭痛を感じている女性は、エストロゲンの減少に伴い片頭痛が誘発されるといわれています。

特徴

① 頭痛の頻度は月に数回~10回前後 ② 頭の片側あるいは両側がズキンズキンと脈を打つような痛み

③ 吐き気や嘔吐を伴う ④ 家族に片頭痛持ちがいる

誘因

① 激しい運動や入浴後、日射し、気圧の低下 ② 女性は生理前や生理中の女性ホルモンのバランスの変化

③ 家族に片頭痛持ちがいる ④ アルコールやチョコレート、チーズなどを食べたとき

片頭痛の前兆
片頭痛は、前兆を伴うタイプと、伴わないタイプに分類できます。

最も多い前兆は、「閃輝暗点」と呼ばれる症状で、

① 目の前で光がチカチカする

② 視界にきらきら光るジグザクの線が移動する

③ 視野が狭くなるなどがあり、他に、手がしびれることもあります。頭痛が始まるとそれらの症状は消失してしまいます。

緊張型頭痛は、実は片頭痛よりも多く、全国で2000万人以上といわれています。

緊張型頭痛を引き起こしている原因は、筋肉の緊張からくる頭痛と精神的緊張からくる頭痛の2つがあるとされます。

筋肉の緊張からくる頭痛とは、首のうしろから肩にかけて筋肉がこわばり、痛みの原因物質である乳酸やピルビン酸が出現することが原因です。

 

一方、精神の緊張からくる頭痛は、仕事や家庭、人間関係など、心にかかるストレスが原因となります。痛みは前額部や頭全体に及びます。頭痛以外に、不眠やめまい、耳鳴りなどの症状を伴うことがあります。

 

緊張型頭痛治療薬の基本的な選択方法


緊張型頭痛には、トリプタン製剤は効果が期待できません。

鎮痛剤(NSAIDsやアセトアミノフェン)以外に

筋弛緩薬(ミオナール、テルネリン)などの筋肉を柔らかくする薬物や

精神安定剤(ソラナックス、セルシン)なども筋肉の弛緩作用もあり、心の緊張も緩和できることを期待して処方を行います。

肉体的な緊張が原因ならば筋肉をリラックスさせる体操やストレッチで体をほぐし、姿勢を正すことが重要になり、時に整形外科の受診が必要な場合もあり、適宜紹介のうえ連携対応を行います。

心の緊張が原因であれば、ストレスの発散が必要であり、時に精神科/診療内科の受診が必要な場合もあり、適宜、紹介させて頂き、連携対応を行うこともあります。痛みの程度によって、鎮痛剤や筋肉弛緩剤、精神安定剤が必要になります。

当院では、漢方診療も対応しており、症状に合わせた漢方薬を選定し、西洋医学と東洋医学の併用により、患者さんの頭痛が生活に支障のないように最大限のサポートをしております。

特徴

① 毎日のように痛みが起きる ② 頭を何かで締め付けられるような痛み

③ 首や肩の「はり」「こり」を感じることが多く、目の疲れ・身体のだるさ・めまいなどを伴う

 

群発性頭痛は、上記の2つの頭痛よりもさらに痛い頭痛になります。

特徴

① 20~40代の男性に多い ② 1年から数年に一度、1ヶ月から数ヶ月、毎日のように決まった時間に痛みが起きる

③ 頭部の片側、眼の奥、こめかみあたりが「えぐられる」ような激しい痛み ④ 目の充血、涙、鼻水、鼻づまりを伴う

誘因
目の奥の血管が拡張し、周囲に炎症が生じて神経を刺激すると考えられていますが、詳細は未解明です。血管を拡張させるアルコールの摂取は厳禁となり、酸素吸入で軽減する傾向もあります。

頭痛外来

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